血清タンパク検査の中で、今回は「タンパク分画」についてお話ししたいと思います。本検査は、全身の栄養状態や肝障害の程度を知る為の検査です。
総タンパクやA/G比の値から、血清中に何らかのタンパク質の異常が考えられる時に、タンパク分画を調べます。
タンパク質というのは、一般に陰性(負)の電気を帯びています。
これを利用して、電流を流すと、重さ(分子量)院従って軽いものほど陽極の方向に移動するという現象が起こります。
この現象を用いて分析を行っていくのがタンパク分画になります。これによって、グロブリンは、α₁-グロブリン・α₂-グロブリン・β-グロブリン・γ-グロブリンの4種類、そして総タンパクの過半数を占めるアルブミンを含めて、その増減を知る事が出来ます。
本検査を行う事でどのよう事が見えてくるのでしょうか。
まずアルブミンですが、肝硬変や重症の肝炎など肝臓の働きが十分でない場合や栄養状態が悪い場合、肝臓で作られるアルブミンも十分に分泌されなくなる為、低値になります。
α₁-グロブリンは主に肝臓で作られ急性肝障害で低下し、反対に感染症や炎症性疾患で増加します。
α₂-グロブリンは、ヘモグロビンや銅を運搬するタンパク質からなっており、こちらもやはり肝臓の働きが落ち合成量が低下すると、血液中でも低くなります。
β-グロブリンは、鉄を運搬する役割を担っており、肝機能の低下に伴い低くなります。
γ‐グロブリンは、免疫グロブリンともよばれます。身体の抵抗力である免疫システムの異常によって増減していきます。
免疫システムに関わるという事ですので、炎症性の疾患や肝炎・肝硬変で増加します。
このように、何が多いかによって、どの機能が低下している或いは異常が起きているかを推測する事が出来るのです。他にも、異常なタンパク質が作られる多発性骨髄腫も本検査から診断を行います。